高血圧治療薬の有効性について説明する大西新特任教授=出雲市塩冶町、島根大医学部
高血圧治療薬の有効性について説明する大西新特任教授=出雲市塩冶町、島根大医学部

 新生児期に起こる脳神経機能障害「ビリルビン脳症」に由来する精神疾患の治療で、海外で使われていた高血圧治療薬に有効性があるとの研究結果が発表された。島根大医学部(出雲市塩冶町)の研究チームが動物実験で効果を確認。新たな治療薬の開発や治療法の確立に貢献することが期待される。

 ビリルビン脳症は、血液中の古くなった赤血球が破壊されてできた色素「ビリルビン」の代謝障害で発生。ストレス、免疫、代謝、遺伝子などの異常とともに、精神疾患が発症するリスク要因とされる。

 島根大医学部はかねて精神疾患についての研究を推進。研究チームは、治療法や治療薬が確立されていないビリルビン脳症に起因する同疾患に着目した。

 軽度のビリルビン脳症で行動異常が見られるラットに高血圧治療薬「ケタンセリン」を投与。頻繁だった毛繕いや立ち上がる回数が減り、改善したことを確認した。

 同治療薬は脳内にある神経伝達物質の前頭葉への伝達を抑制する効果があり、国内では使われていないが、メキシコなどの海外で投薬されていた。

 研究チームは実験結果を踏まえ、ケタンセリンを元に改良すれば、治療につながる薬を早期に作製できると分析。

 チームのメンバーで、免疫精神神経学共同研究講座の大西新特任教授は「小児科のビリルビン脳症の治療に対し、一石を投じることになったのではないか」と研究と治療のさらなる進展に期待した。

 研究成果は、英国のネイチャー・パブリッシング・グループが発行する小児科専門誌の電子版で公表された。