国立新美術館(東京)での李禹煥(リウファン)の大規模な個展は、国際的な評価を確立しているこのアーティストの、これまでの活動の軌跡の総集編ともいうべき内容である。

 李は1936年に韓国に生まれ、20歳で日本に移住して「もの派」と呼ばれる前衛運動の中心的な存在として脚光を浴び、ここしばらくは日本と欧州を往復しながら制作している。一つの文化風土に拘束されないという特権的な自由に恵まれ...