搾りたてのオレンジジュースのような色をした夕日が鮮烈だった。北海道苫小牧市の苫小牧港。作詞家岡本おさみとシンガー・ソングライター吉田拓郎が生んだ傑作「落陽」の舞台だ。夕日は接岸したフェリーの白い船体を染め上げ、程なく雲に包まれた。

 苫小牧港の歴史はそれほど古くなく、開港は1963年。その約10年後に岡本は苫小牧へ来た。列車の旅に少し飽きてきたところで、就航したばかりの仙台行きフェリ...