握手をしてお互いをねぎらう小松原照夫さん(左)と吾郷昭夫さん
握手をしてお互いをねぎらう小松原照夫さん(左)と吾郷昭夫さん

 第44回一畑薬師マラソン大会が30日、出雲市小境町の一畑薬師山上を発着点に開かれた。昨年はコロナ禍の状況を踏まえて出場者を山陰両県在住者に限定したが、今回は制限を設けず実施。5キロと10キロの計15クラスに799人が出場し、終盤に1138段の石段が待ち構えるコースで健脚を競った。各ランナーは、沿道からの声援を励みに、秋の一畑路を力強く駆け抜けた。

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 中止となった2020年を除く全てに出場する鉄人が記録を43回に伸ばした。小松原照夫さん(83)=松江市乃白町=と吾郷昭夫さん(79)=出雲市多伎町小田=の2人。ともに初めて出場した大会が一畑薬師マラソン。年齢を感じさせない健脚ぶりを見せ、健闘をたたえあった。

 小松原さんは、職場の後輩に誘われて1979年にランニングを開始し、現在は松江ジョギングクラブに所属して週に1回走る。レースでは自分のペースを保ちつつ、階段が残り100段になると「ゴールが見えてくると力が出た」と、ギアを上げて走りきった。

 吾郷さんは、第1回大会での階段のきつさに「2度と走るまい」と思ったものの、苦しさを超えた後の快感が忘れられず出場を重ねる。終盤、石段の沿道から「あともう少し!」との声援に「さあ上りきるぞ!」と大声で応え、自分や周りの走者を鼓舞した。

 ゴール後は「よく走りきりました」と互いを褒め合った。全て出場しているのは2人だけ、仲間がいるのは大きな励みだ。「一緒に第50回までは走ろう」と約束の握手を交わした。
 (井上雅子、黒沢悠太)