多くの観光客でにぎわう県立しまね海洋館アクアス=浜田市・江津市
多くの観光客でにぎわう県立しまね海洋館アクアス=浜田市・江津市

 政府による新型コロナウイルス対策の行動制限が3年ぶりになかった8月の島根県内主要観光施設の入り込み客数は前年同月比48・5%増の43万1895人となったと県が公表した。回復基調ではあるが、コロナ禍前の2019年の水準には戻らなかった。県は閑散期となる冬場の観光需要喚起策を用意し、客足確保に向けて巻き返しを図る考えだ。

 26カ所の入り込み客数で、施設別の増加率は、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主要人物・後鳥羽上皇を祭る隠岐神社(海士町)が前年比250%増の1330人、松江城(松江市)周辺を巡る堀川遊覧船の「ぐるっと松江堀川めぐり」が129・7%増の1万5559人、松江城が116・1%増の2万9527人など。入り込み客数が最も多かったのは、県立しまね海洋館アクアス(浜田、江津両市)の6万1775人だった。

 隠岐神社の入り込み客数が大幅に伸びた理由について、県観光振興課は、21年7月に海士町でホテル「ento(エントウ)」が開業してから最初の行動制限のない夏休みシーズンを迎え、宿泊客が隠岐神社に足を向けたためと分析する。

 一方、コロナ禍前の19年8月と比較すると、主要施設の合計は28・4%減。施設別では、隠岐神社が22・4%減▽堀川めぐりが42・2%減▽松江城が38・1%減ーとなり、依然厳しい状況が続く。

 観光事業を巡っては、国の「全国旅行支援」が11日に始まった。県は冬場以降の観光需要喚起策が必要とし、同月~23年2月の間、観光客に限定クーポンを配布する方針で、関連予算2500万円を22年度一般会計補正予算に計上。県観光振興課の永富聡国際観光推進室長は「ハイシーズン後のてこ入れを行い、観光客の呼び込みに注力していく」と話した。