公演に向けて稽古に励む出演者=雲南市掛合町松笠、松笠交流センター
公演に向けて稽古に励む出演者=雲南市掛合町松笠、松笠交流センター

 雲南市掛合町松笠地区に伝わる「松笠歌舞伎」の公演が5日、地区内の松笠交流センターで行われる。昭和の初めに始まったとされ、一時は途絶えながらも住民が復活させた農村歌舞伎。5年ぶりに披露する舞台に向け、地元有志が稽古に励んでいる。 (山本泰平)

 松笠歌舞伎は、隣接する出雲市佐田町から伝わり、住民に親しまれた。戦後、映画やテレビが娯楽の中心になったこともあり途絶えたが、昭和40年代に伝統を守ろうと地元青年団の手で復活。数年に1度、天満宮の秋の例大祭に合わせて公演してきた。近年は2014年の90周年記念公演の後、17年に上演したが、新型コロナの影響で今回は5年ぶりとなる。

 演目は人情ものの「牛若弁慶五条之立引(たてひき)」(5幕、約2時間)と、派手な衣装と立ち回りが見どころの「御(お)目(め)見(み)得(え)だんまり」(1幕、約20分)。10~60代の住民20人が出演し、盆明けから週2回の稽古を続けてきた。

 公演は、佐田町を拠点に活動する「出雲歌舞伎むらくも座」が協力し、座長の渡部良治さん(73)、長島浜吉さん(87)が指導。10月26日に松笠交流センターであった稽古では、出演者がせりふ回しや立ち位置に注意しながら、熱のこもった演技を繰り広げた。

 松笠みこし奉賛会芝居部長の片石喜己さん(65)は「観客と一体になった村芝居の雰囲気をぜひ楽しんでほしい」と話した。公演は午後1時半からで、入場無料。問い合わせは松笠交流センター、電話0854(62)0411。