女性初の将棋棋士を目指し、プロ棋士編入試験5番勝負に挑んだ里見香奈女流五冠(30)=出雲市出身=は、3連敗で不合格となった。男性棋士に見劣りしない実力と実績を備え、合格への期待値は高かったが壁は厚かった。女流棋士のトップでありながら、編入試験を戦う難しさやジレンマも垣間見えた。 (佐貫公哉)
10月13日にあった編入試験第3局。相手の手厚い指し回しに敗勢となり、天井を見上げ投了を告げた。奨励会三段時代に描き、一度は断念した棋士になる夢が再び破れた。
里見女流五冠は10代から複数の女流タイトルを勝ち取る早熟ぶりを見せ、2018年に年齢制限で奨励会を退会した後も、たゆまぬ精進で男性棋士相手にも好成績を残してきた。
ただ、いざ編入試験で指してみると、勝手が違うように見えた。普段、主戦場とする女流棋戦との違いは戦型に表れた。
■ ■ ■
将棋の戦法は、最強の攻撃駒の飛車を...