「ハッピーバード」を説明する藤井政至助教=米子市西町、鳥取大医学部付属病院
「ハッピーバード」を説明する藤井政至助教=米子市西町、鳥取大医学部付属病院

 鳥取大医学部付属病院(米子市西町)を中心とした医工連携チームが福島県内のロボット機器メーカーと共同で、患者を搬送するストレッチャーに取り付けるドーム型の飛沫(ひまつ)防止器具を開発した。患者の上半身を包み込む構造で、感染リスクを下げるため使い捨て式にした。救急現場などでの活用を見込み、全国の医療機関に売り込む。

 「ハッピーバード」と名付けた飛沫防止器具は、段ボールとクリアシートで上半身を覆うように仕立てる。使い捨て式で、簡単に設置できる特徴がある。陰圧を保ったままウイルスが外部に漏れないよう気管挿管などの医療処置が可能で、救急車による搬送中でも飛沫拡散が防止できる。

 共同開発は、1月に始動した「福島・鳥取 医療機器開発連携プロジェクト」の一環。鳥取大医学部付属病院や同大発ベンチャーのメディビート、陰圧装置などを開発しているeロボティクス(南相馬市)などが参加している。

 eロボティクスは昨年7月、再利用型の陰圧クリーンドームの販売を開始したが、再利用時の消毒に伴う感染リスクが医療従事者から指摘されていた。

 そんな中、鳥取大医学部付属病院などが気管挿管時の飛沫対策で開発した、頭部にかぶせる使い捨て式の「トラキアボックス」の存在を知り、共同開発を打診。互いの技術を持ち寄り、可搬型の陰圧クリーンドームを完成させた。

 同病院新規医療研究推進センターの藤井政至助教は、救急医療の現場で感染が発生すれば、患者の受け入れを一時停止することもあり得ると説明。「ハッピーバードを、地域の救急患者受け入れ体制の維持に役立てたい」と話した。

 注文受け付けを始めており、価格は1万6500円。(坂本彩子)