短歌 宮里勝子選

一枚の写真ノートに挟まれて幼子のまま古びてゆきぬ       雲 南 栂  満栄

 【評】さまざまな事情が想像できるが、読者の目にうかぶのは幼児の写真。それも変色し、かなりの年月を経ている。三十一文字で表せるのは一部であり、短歌は想像の文学といわれる。二首目に、元気ならそれでいいよと言ってみるとあった。

徘徊の母を咎めることはせずズボンに付いたいのこづち取る    奥出雲 小川寒四郎

 【評】徘徊される母には母なりの事情があることを家族はまず理解しなければならな...