蒸し上げたコウゾの束を取り出す佐々木誠さん(右)と、さとみさん=江津市桜江町長谷、風の工房
蒸し上げたコウゾの束を取り出す佐々木誠さん(右)と、さとみさん=江津市桜江町長谷、風の工房

 江津市の指定無形民俗文化財「勝地半紙(かちじばんし)」で使われるコウゾを蒸して樹皮をそぎ取る「そどり作業」が5日、江津市桜江町長谷の温泉リゾート施設「風の国」内の工房で始まった。県西部の伝統芸能・石見神楽に登場する大蛇(おろち)がとぐろを巻く様子に例えられる巨大な釣り鐘形の杉桶(おけ)「甑(こしき)」を使って蒸し上げる伝統的な手法。年末までに1年分の半紙や彩色和紙などに使う1500キログラムの樹皮を取る。

 勝地半紙を唯一継承する工房の佐々木誠さん(64)とさとみさん(56)夫妻が作業。桜江町内で収穫したコウゾを束ねて鉄釜の上に載せ、高さ1・7メートル、直径1・4メートルの甑をかぶせて4時間蒸し、軟らかくなった樹皮を丁寧にそぎ取った。

 コウゾは乾燥させて1月から使う。佐々木誠さんは「今年は天候が良く品質の良いコウゾができ、よく蒸し上がった。良質な和紙ができる」と話した。
     (村上栄太郎)