新型コロナウイルスの検査結果取り違えについて当事者の隠岐保健所は10日以上も事実を公表せず、取材を門前払いして口を閉ざした。県健康福祉部への報告も同様に怠っており、監視の目が行き届きにくい離島の出先機関の中で、不祥事をもみ消そうとする組織の隠蔽体質が露呈した。
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取り違えの事実関係を隠岐保健所にただしたのは14日午前9時過ぎ。保健所側は「今日中に回答する」と答えたが、その日に回答はなかった。保健所側が一報を県健康福祉部に入れたのは同日午後1時過ぎ。同部が不祥事の全体像を把握したのは夜になってからで、同日の取材対応は間に合わなかったという。
翌15日午前に保健所側は「午後に報道発表する。取材は本庁に一本化した」と問題の当事者は、対応しないと連絡してきた。
再三の取材要請により同日午後にようやく柳楽真佐実所長が取材に応じた。丸1日以上取材を受けなかった点について「たくさんの人が関わっており確認に時間がかかった」と説明。取材がなければ公表しなかったのかという問いには「お答えできない」とした。
通知ミスのため陽性の状態で勤務した職員による感染拡大は結果的にみられなかったとしているが、取り違えの事実を知る関係者の間では「高齢の利用者に感染し、悪化したらどう責任を取るのか」「なぜ保健所だけが問題を隠していられるのか」という疑問の声が上がっている。
柳楽所長は迷惑をかけた施設や職員には「謝罪し、真摯(しんし)に対応した」というが、それで終わりでは再発防止はおろか、町民の不信感は拭えない。
(隠岐支局長・鎌田剛)













