女性初の将棋の棋士を目指して昨秋、編入試験に挑戦した。残念ながらかなわなかったが、まさにその日の夜、交流サイト(SNS)に「これから先も変化し続けられる人生を歩んでいけたら」とつぶやいた。名誉や肩書ではない、自身の変化を求め、真っすぐに生きる姿勢に引かれた。 (聞き手は情報部・坂上晴香)
昔は将棋一色で、勝つことに執着していた。19歳で棋士の養成機関・奨励会に入って以降は聞く耳を全く持たず、人と話すこと自体が無駄だとも思っていた。
22歳のときに体調を崩し、約10カ月間休養した。26歳の年齢制限で奨励会を退会した直後は全てを失ったという感覚だった。今後を模索して、女流棋士の妹と単発で将棋教室を開いたり、旅行をしたりした。視野が広がり、将棋だけやっていても強くなれないと気付いた。
勝負に執着し過ぎると力んで空回りすることも分かった。勝つぞという気持ちは大事だけど、...