新型コロナウイルス禍の収束も見通せない中で、世界はロシアによるウクライナ侵攻という新たな惨禍に見舞われた。戦争や感染症は現代世界の何を暴き出し、歴史的な変調の先に私たちはどんな未来を見ることになるのか。フランスの哲学・社会学者ジャンピエール・ルゴフさんが語った。

 (聞き手・構成は共同通信編集委員 軍司泰史)

 ロシアのウクライナ侵攻から今年2月で1年。西側諸国の世論は今も、この戦争に関するロシアのプーチン大統領の言動に、戸惑いを覚えているように見える。

 それは、(かつて)ソ連共産党が用いていた全体主義のロジックを全く理解できないからだと思う。全体主義の権力と...