ハナモモの里の交流施設で新たに郷土玩具の常設館を開く月橋修彦さん、由理さん夫婦=島根県邑南町上口羽、桃源の館
ハナモモの里の交流施設で新たに郷土玩具の常設館を開く月橋修彦さん、由理さん夫婦=島根県邑南町上口羽、桃源の館

 広島県三次市で郷土玩具の展示施設を運営する夫婦が7日、ハナモモの里として知られる島根県邑南町上口羽の川角集落にある交流施設「桃源の館」で新たに常設展示を始める。館で民泊を運営していた男性が転居した後、2カ所目の展示場所を探していた夫婦が「空き家にするのはもったいない」と借りて収集した品を並べた。春に多くの花見客が訪れる集落に、新しい魅力が加わりそうだ。 (糸賀淳也)

 夫婦は、三次市で「郷土人形館よりみちぼっこ」を運営する月橋修彦さん(49)と由理さん(47)。10年ほど前、旅先で目にした郷土玩具に関心を持ち、全国を回って集めた。

 収蔵品は張り子や和紙人形、民芸品など3千点に及ぶ。人々に喜んでもらおうと、自宅のスペースを使って展示館を設けたほか、広島、島根両県の博物館などで企画展を開いてきた。

 自宅が手狭になったことから、広い展示場所を探し、2021年春に企画展を開いた桃源の館に着目。邑南町口羽地区は修彦さんの父親の古里で、縁のある場所だった。館を運営していた男性とも交流があったことから、転居後に展示施設として活用することを提案し了承を得た。

 22年11月から館にガラスケースや収蔵品を持ち込み、準備を進めた。入り口には島根県津和野町に伝わる鷺舞(さぎまい)の和紙人形や石見の神楽面、全国の張り子などが並んでいる。2人は「郷土玩具はただの置物ではなく、作った人の思いがこもっている。文化を伝承するための施設にしたい」と話した。

 入館料は300円で、土・日・祝日を中心に開く。開館日などの問い合わせは由理さん、電話090(1183)3310。