人生は一本道じゃない。思い通りにいかない時は誰にも訪れる。予期せず迷い込んでしまった道なき道を、人はどのように歩んでいくのか。「あの頃の私」を肯定できる日は来るのだろうか。市井の人々の物語から、そのヒントを探りたい。

 場面が進むにつれ、違和感が募っていく。1999年にダウン症の息子、秋雪を亡くした写真家の加藤浩美(58)は、それから5年後、息子を主人公にしたドラマの完成試写会に臨んでいた。「これは本当に秋雪の物語なんだろうか」。脚色された内容に戸惑った。

 数歩...