鎌倉、室町時代に現在の浜田市三隅地域を治めた三隅氏の発祥800年を記念した地域活性化事業が動き出した。歴史の学びを通じて郷土に誇りを持つとともに、少子高齢化や新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ活気を取り戻そうと住民が立ち上がり、勉強会やイベントを計画。15日は出陣式と銘打って80人が集まり、今後の取り組みに向けて気勢を上げた。 (吉田雅史)
三隅氏は益田を本拠とした豪族・益田氏の分家で、初代兼信が三隅城(高城)に移り住んだ後、1223年に鎌倉幕府から領地の支配を認められたとされる。
2023年は800年の節目に当たり、郷土史研究やまちづくりの関係者が22年9月に「三隅氏発祥800年の会」(11団体、丸山義尚会長)を設立した。幹部が集まる「参謀会議」をはじめ、学びや催しの部会を組織し、シンボルの高城と三隅川をデザインしたロゴマークやのぼり旗を作るなどして準備を進めてきた。
三隅氏に関する史料は少なく、紀元とする幕府承認の年も山口県萩市で02年に見つかった新出の古文書の記述に基づく。23年は、歴史の学びを深めるための活動として、外部講師を招いた講演会や中学校の教材となる副読本の製作を計画。古里の再発見に加えて、地域内外に眠る新史料の発見にも期待する。
さらに、歴史に関心が薄い住民も巻き込んで活気づけようと、学習会とセットにしたマルシェの開催や、地元事業者による特別仕様ラベルの日本酒、和菓子などの販売も予定している。
三隅まちづくりセンター(浜田市三隅町向野田)であった出陣式では、ほら貝の音を合図に関係者がテープカットで門出を祝ったほか、参加者が声をそろえて「エイエイオー」と勝ちどきを上げた。丸山会長(59)は「まちづくりの原動力になるよう、町一丸となって盛り上げたい」と話した。