パソコンと向き合う山根麻由美さんと、県展で知事賞を受賞した作品「Luna(ルナ)」=出雲市西林木町、出雲北陵高校
パソコンと向き合う山根麻由美さんと、県展で知事賞を受賞した作品「Luna(ルナ)」=出雲市西林木町、出雲北陵高校

 出雲北陵高校(出雲市西林木町)3年の山根麻由美さん(18)は、コンピュータグラフィックス(CG)を駆使した映像作品や静止画を制作し、第55回島根県総合美術展(県展)のデザイン部門の最高賞・知事賞に輝くなど作品は高い評価を受けている。将来はゲーム制作といった新しい分野の仕事に挑戦したいと、今春の卒業後はCGや3Dの技術が学べる専門学校へ進学し、夢に向かってさらに腕を磨く。
 (編集局報道部・小引久実)

 山根さんは同校の美術・CGデザインコースで1年生のときからCGソフトを使い始め、主に映像作品を制作している。県展で知事賞に輝いたほか、仮想現実(VR)機器を使って空間に絵を描くという方法で制作した作品が、同校で初めて2年連続で高総文祭に出品されるという快挙を成し遂げた。

県展で知事賞を受賞した作品を紹介する山根麻由美さん

 県展に出品した静止画「Luna(ルナ)」は、卒業制作として手掛ける映像の一場面を切り取って編集した作品。すべてパソコンの画面上で完成させた。空き缶が転がっている夜の路地裏が舞台。光る目でまっすぐ見つめる黒猫を描き、情報が飛び交う現代社会で何が正しいのか分からなくなる中でも強く生きていく様子を表現した。水面に映る大きな月を下半分に配置し、光の筋をたどって上部へ視線を誘導するよう構図にもこだわった。

▼迫力ある作品

 

 1年生の時に制作したのは、架空の観光スポットを紹介する約1分半の映像「Forest(フォレスト)」。海外の崖を参考にし、旅行会社のPR動画をイメージして編集した。夕日を背景にした二つの崖や透き通った川が鮮やかに描かれ、様々な角度から自然を堪能できる迫力のある作品となっている。

 2年生時に制作した約2分半の映像「ENISHI-PROJECT(エニシ プロジェクト)」は、なかなか旅行ができないコロナ禍でも、気軽に出雲大社での参拝を疑似体験できる作品。「二拝四拍手一拝」などといった出雲大社の参拝方法の解説も交えた。本殿の部品を一つ一つ丁寧に描き、忠実に境内を再現した。半年の制作期間中は時間との闘いで、作業のために早朝に一番乗りで登校していたという。

 

▼楽しく作る

 将来はゲーム制作に関わりたいとの思いもあり、ゲーム画面のようにコマンドを動かして選択する場面も取り入れた。CGは「自分で考えた世界が奥行きを持って現れるのが魅力」と話した。パソコンと向き合う時間が多く、操作を覚えるのにも一苦労だというが、その中でも「楽しくつくろうといつも意識している」と、作品に熱がこもるよう工夫している。

 映像技術は、CGの登場により仮想現実と呼ばれる空間がゲームに利用されるなど世界が広がり、成長分野として注目されている。高校で才能を発揮した山根さん。さらに飛躍が期待される。