箱庭雑貨店の店頭に立つ二川雄治さん=鳥取市鹿野町鹿野
箱庭雑貨店の店頭に立つ二川雄治さん=鳥取市鹿野町鹿野

 兵庫県明石市で営んでいた雑貨店を鳥取市鹿野町鹿野に移転させ、Iターンして経営を続ける夫婦がいる。二川雄治さん(49)と妻の夏子さん(40)で、店名は「箱庭雑貨店」。昭和レトロ感漂う店内で雑貨を販売。併設するカフェバーで食事やドリンクを提供する。開店から半年が経ち、徐々に常連客が増えて住民たちの憩いの場になっており、「町のにぎわい創出に一役買いたい」と決意を新たにしている。(鳥取総局・岸本久瑠人)

 雄治さんは神戸市出身で鳥取大卒。福井県内の製造会社で工場長を務めていた。トラブルがあれば休日昼夜問わず対応に追われ、体力的に限界を感じて38歳で退職。「これまでと180度違うことをしよう」と雑貨好きの夏子さんの影響を受け、2013年に実家がある兵庫県明石市で空き家の長屋を使い「箱庭雑貨店」を開業した。

▼昔ながらの街並み

 3年経ったある日、大家から長屋の劣化が進み今後長くは貸せないと伝えられた。大学時代の先輩からの提案もあり、城下町で昔ながらの街並みが残る鹿野町に行ってみると「タイムスリップしたみたいだ」と胸を打たれ、移転を即決。空き家を活用し、2022年6月に移転した。

店内は昭和のレトロ感が漂う=鳥取市鹿野町鹿野

 雑貨店内は、これまで収集、譲渡された年代物の棚をそのまま使用。鎮痛剤「ケロリン」のロゴ入り風呂椅子や手拭い、がまぐち財布などの商品が並び、レトロな雰囲気に包まれている。商品は二川さん夫婦がいいと思ったものを仕入れ、だんだんと懐かしさを感じるデザインの商品を扱うようになったという。

▼住民の集う場に

 併設するカフェバーでは学校で使われた机と椅子を置き、計12席確保した。パスタやコーヒーのほか、夜はアルコールも提供する。町内で夜遅くまで営業する飲食店は珍しく、住民が集い会話に花を咲かせる貴重な場になった。雄治さんは「地域にかわいがってもらえる店にしたい」と今日も店に立つ。
 

学校で使われていた机や椅子など懐かしさが漂うカフェスペース=鳥取市鹿野町鹿野

 所在地は鳥取市鹿野町鹿野1407。雑貨コーナーは午前11時~午後5時ごろ、飲食は午前11時半~午後10時。水曜定休。問い合わせは、電話0857(33)0193。