記事の構成について話し合う出雲高校新聞部の部員=出雲市今市町、出雲高校
記事の構成について話し合う出雲高校新聞部の部員=出雲市今市町、出雲高校

 島根県高校新聞コンクール最優秀賞を8年連続で受賞する出雲高校(出雲市今市町)の新聞部が硬派、軟派を織り交ぜた記事展開で読者を楽しませる。毎月発行の校内新聞「鷹(たか)の澤(さわ)新聞」には身近な学校話題や、生徒なりの視点で社会問題に切り込む論説などを掲載。年1回の英字新聞制作にも熱が入る。若者の新聞離れが叫ばれる中、高校生記者たちが駆け回る。

 「後半で20字増やせないかな」「改行でどうにかならないか」「バスケ部のはまだ?」。発行が迫る放課後の部室。各記事を巡り、編集や校正担当の生徒が作業に追われていた。

 1年生11人と2年生16人で活動し報道、紙面編集、校正、事務の4部門に分かれて制作に当たる。月1回の新聞のほか体育祭の号外もあり、年15回程度のペースで発行。記事は球技大会や学園祭、高校総体などの学校行事や部活動の様子をはじめ、食堂の人気メニューランキングや、教員の素顔に迫る「先生を深掘り」など多岐にわたる。

 世の中のニュースや社会問題を基に書く論説は部員全員による当番制で執筆。1月発行の最新号は1年の常深夏生さん(16)が担当した。「分かりやすく簡潔に伝えるのが難しい」と話しつつ、昨年12月のサッカーワールドカップ日本代表の戦う姿を振り返り、自分たちも壁を乗り越えていこうと呼びかけた。

 英字新聞は校外で取材した内容を日本語で記事化した後、生徒自ら英訳し、英語教員の指導で何度も直しながら完成させる。直近の22年9月号では出雲大社近くの宿泊施設「月夜のうさぎ」のおもてなしや、バスケットボール男子Bリーグ・島根スサノオマジックのスタッフインタビューを掲載した。

 記事の最終点検をする校正部門は、新聞社が活用する記事表記の基準集・記者ハンドブックと照合し作業する。担当者で副部長の小村悠太さん(17)は信頼性を保つため「常に客観性を意識する」と語る。

 2年の吉川郁哉さん(17)は「青春を間近で感じられる」と新聞制作の魅力を話す。取材した高校総体で、バレーボール部が他校に勝った時の選手の笑顔、負けて流す涙も見た。「一番熱いところを見て、伝えられるのが楽しい」といい、この先も活字で新鮮な話題を発信し続ける。