山陰両県の農作物を関西圏のスーパーに卸す(株)まい・しまね流通ラボ(松江市西津田1丁目、安井光夫代表)の事業が販路拡大に一役買っている。集荷時点で全量を買い取る「買取販売」を採用し、その後の検品や加工、物流を自社で担うことで生産者のコスト負担や売れ残りリスクを抑える。知名度を上げ、取り扱い量のさらなる拡大を狙う。
生協しまね(松江市西津田1丁目、安井光夫理事長)と物流会社の間口ウエストロジ(株)(大阪市港区、佐々木渉代表取締役)の共同出資で2020年に設立。農作物の直売事業を展開する農業総合研究所(農総研、和歌山市)の委託事業だったが、22年6月にフランチャイズ化。主体がまい・しまねに移った。
集荷以降、生産者に負担がかからないのが特徴だ。一般的な産直売り場は生産者側に持ち込みや袋詰めなどの作業が発生し、売れ残りのリスクも伴う。まい・しまねは、集荷時点で農作物を先に全量買い取ることで対価を保証。加工や物流も肩代わりする。その分、買い取り額は下がるものの、市場の価格下落時や余剰農産物の売り先などにも十分なニーズがあるという。
拠点は出雲市長浜町の出雲集荷場。出雲長浜中核工業団地内の生協しまねの商品センターを活用した。従業員6人が加工作業を担い、間口のトラックで出荷する。21年度の取り扱いはトマト、ホウレンソウ、白ネギ、柿など約27万点、出荷額で5600万円分に上った。
スーパーは「ライフ」「サンプラザ」「平和堂」の約200店舗から選べ、農総研が設置する産直売り場に毎週水、土曜日に並ぶ。内藤幹夫支援担当は「地元の農作物を広く関西に知ってもらう機会になる」と強調する。間口の出雲出張所の勝部誠二所長は「販路を拡大したくてもその方法が分からない人にぜひ使ってもらいたい」と話す。
取り扱いまでには事前に面談などをするが登録料はかからない。集荷方法は応相談。問い合わせは出雲集荷場、電話0853(31)9935。