戦国末期の石見銀山を舞台に、過酷な環境を生き抜いた女性の一代記「しろがねの葉」(新潮社)で第168回直木賞を受賞した千早茜さん(43)が、山陰中央新報社のオンラインインタビューに応じ、作品の世界観や銀山の魅力、受賞の喜びを語った。 (聞き手は大田支局・曽田元気)
■想像力生む緑の鉱山
-石見銀山を題材に選んだ理由やきっかけは。
「2011年に出雲を訪れた際、せっかくだし世界遺産になった石見銀山遺跡に行こうと思った。『石見の女性は3人の夫を持った。(鉱石を掘る男の)銀掘(かねほり)が短命だったから』との地元ガイドの説明を聞き、(公開坑道の)龍源寺間歩に入ると、こういう場所で好きな男3人が死んだ後にも生き続けるのはどんな人生だろうと感じ、いつか書きたいと思っていた」
-銀山遺跡の印象は。
「11、19、22年に訪れた。大森町の町並みはとてもきれいで、電柱はなく、自動販売機が木枠。『江戸テーマパーク』みたいで、...