長引く積雪の影響で、視覚障害者の道しるべとなる点字ブロックが雪に埋まった状態が続いている。曲がり角の印になっている電柱や壁際にも雪がたまり、付き添いなしでは道が分からない状況。通勤や買い物などすでに当事者の生活に影響を与えており、当事者や関係者は頭を抱えている。
「方向が分からなくなってしまう」ー。31日午後、ライトハウスライブラリー(松江市南田町)に勤務する全盲の清水かおりさん(42)が24日の積雪以降、初めて自宅までの通勤路を歩き、つぶやいた。
いつもは1人で白杖を手に点字ブロックを頼りにして約10分で歩く。ところが、この日は随所で点字ブロックが雪に覆われ、白杖をついても感覚がつかめず自力で歩けない状態となっていた。中には、歩道の雪かきで寄せられた雪が点字ブロック上に高く積まれている所もあった。
通勤は現在、同僚に送迎してもらい、買い物も介助者の支援を受けている状態。「普段1人でしていることができなくなっている」と口にする。
ほかの視覚障害者も同様の課題を抱えており、NPO法人プロジェクトゆうあいのスタッフで全盲の渡部栄子さん(36)は「雪が降り始めてから仕事を休んでいる。1人では歩けない」と明かす。
松江市の除雪計画では、道路を3段階に優先順位付けし、車道から除雪を実施。歩道は市民に協力を求めているのが状況だ。ライトハウスライブラリーの田中康太郎副施設長(46)は「点字ブロックの除雪をお願いするのは難しい」としつつ、「普段から点字ブロックや視覚障害者への声掛けなどを意識していただければ、誰もが暮らしやすい社会になるのではないか」と話す。
(古瀬弘治)













