短歌 安部 歌子選

あを空がやさしく見ゆる十二月われは日向にスニーカー干す    雲 南 熱田 一俊

 【評】穏やかな十二月の日の中に作者はスニーカーを干している。日常の暮らしの一コマがさり気なく詠まれていて読む者の心を温かく包む。上句がいい。

ネジ巻けば又正確に唄い出す亡父愛用の古掛け時計        安 来 鐘築 京子

 【評】ネジを巻けば掛け時計は今でも鳴り出して父と過ごした時間の中に作者を引き 戻していく。「唄い出す」と表現したことで父との思い出の明るさも感じさせる。

霧...