首都圏在住の大田市出身者有志による「大田市応援隊」が、地元産品の販路開拓へ動き出した。目を付けたのが、江戸時代に石見銀山周辺で盛んに作られ、糖度の高さが特徴のサツマイモ。将来的に東京都内に専門店をオープンさせる構想で、8、9両日には都内で焼き芋の試験販売があった。
大田市応援隊は12人で2022年3月に結成した。大手建設会社の部長経験者や社会福祉法人の理事長らが、それぞれの人脈を生かして地元産品の売り先を見つける。
隊長を務める森山宏二さん(65)が「熱意を持って動く人を応援したい」と思案する中、大田市の飲食店経営・田中伸哉さん(54)と市人会などを通じて意気投合した。
田中さんは、標高400~500メートルの黒ボク土壌で高糖度になるという環境を生かし、三瓶山麓で22年6月にサツマイモ栽培を始めた。先にブランド化を進める飯南町の事業者とともに「森の絹」として売り出すプランを描く。
大田市では、江戸時代にサツマイモ栽培を推奨し、民衆を飢えから救った「芋代官」として親しまれる井戸平左衛門の歴史があり、関東近郊で焼き芋専門店がブームとなっていることを踏まえ、販路開拓に一役買うことにした。
試験販売は、島根県産の食材を振る舞う東京都千代田区の飲食店で実施。試食付きで冷やした焼き芋を売った。女性客を中心に足を止め、田中さんは「試食した人の反応は良かった。応援隊のふるさとへの思いを強く感じる」と感謝した。
今後は試験販売で認知度を高めながら、都内の人通りの多い場所を探して専門店を出店し、加工は障害者就労支援施設に委託して障害者の所得向上にもつなげる構想。飯南町の事業者と連携し、サツマイモの確保にもめどが立ちつつあり、森山さんは「この1年で一坪ショップを開店してみたい」と話した。
(原田准吏)