春の彼岸市で歩行者天国の通りを埋め尽くす買い物客たち=2019年3月、大田市大田町
春の彼岸市で歩行者天国の通りを埋め尽くす買い物客たち=2019年3月、大田市大田町

 大田市内で最大級の集客を誇り、風物詩となっている春の彼岸市が21、22の両日、4年ぶりに開かれる。400年以上の歴史があるとされる伝統行事で、JR大田市駅から続く約1・5キロ区間が歩行者天国となる。露店などがずらりとお目見えし、疲弊する中心市街地ににぎやかな声が戻る一日になりそうだ。

 彼岸市は、彼岸に寺の境内で物々交換したのが始まりとされ、春と秋の彼岸の中日に催されるため「中日つぁん」とも呼ばれる。各地の露店商人が年間予定に組み入れるなど注目度が高く、2日間で最大、大田市の人口を大きく上回る5万人が訪れるという。

 新型コロナウイルス禍による中止を経て今回、から揚げやたこ焼きといった飲食や型抜き、ヨーヨー釣りなど135の出店が並ぶ。石見神楽やよさこい、高校生の吹奏楽演奏の披露や、子ども向け体験イベントもあり、地元商店会や事業者も出店する。

 飲食スペースを4カ所設け、新型コロナウイルス対策で食べ歩きを控えるよう呼びかけるとともに、混雑時のマスク着用の協力も求める。

 会場の大田市駅周辺を巡っては市役所本庁舎の移転新築計画が進む一方、2020年時点で駅前通り商店街の3割が空き店舗となり、中心市街地の空洞化が深刻。主催する大田商工会議所の藤原明美総務課長は「こんなに街中を歩くのは彼岸市くらいなので、じっくり見てもらい、中心部を応援し、考えるきっかけになってほしい」と話す。

  (曽田元気)