大江健三郎さんの作品には「こうきたか」という驚きがいつもあった。小説というジャンルをとことん突き詰め、ここまで小説の「面白さ」を追い求め続けた作家はいなかった。

 1980年代前半、大学院を修了した私が最初に勤めた成城大で、同じ学園卒...