<短歌> 安部 歌子選

年末にはった障子をつき破り孫のロケットとび出していく     出 雲 増田のぼる

 【評】孫の仕業であれば叱ることもできない。障子をつき破りとび出して行ったロケットは、果てしなく広がる孫の未来へ向かっていくようだ。勢いのある一首。

老いたれば訪い来る友も今や無し通販カタログどさり音立つ    浜 田 向井 稔信

 【評】友も共に老い、訪い来ることも訪い行くこともなくなった。寂しい暮らしの中に届く通販カタログ。「どさり音立つ」に作者の寂しさが凝縮さ...