国内で初めて確認されたネオテリウムの下顎の化石=島根県邑南町矢上、町役場
国内で初めて確認されたネオテリウムの下顎の化石=島根県邑南町矢上、町役場
国内で初めて確認されたネオテリウムの下顎の化石=島根県邑南町矢上、町役場

 島根県邑南町高見の約1600万年前の地層から、原始的なセイウチ類「ネオテリウム」の化石が見つかった。国立科学博物館の主森(とのもり)亘支援研究員らのチームが18日、明らかにした。ネオテリウムの化石が国内で見つかったのは初めてで、生息域や進化史を解明する上で貴重な発見になる。 (佐伯学)

 化石は右の下顎とみられ、縦約5センチ、横約11センチ、幅約1・5センチ。前方部分は欠けているが、後方部分はほぼ完全な状態で残る。体長は1・8~2・2メートルとされ、今のセイウチのような長い牙はなく、アシカに近い形だったと考えられる。

 ネオテリウムは約15種類いる原始的なセイウチ類の中でも特に古く、約1600万年前から約1500万年前にかけて生息した。化石は北米でも見つかっており、主森支援研究員は「日本で確認されたことで北太平洋東西両岸に広く分布したことが分かった。原始的なセイウチ類に関する進化の過程を解明するのに寄与する成果だ」と意義を説明した。

 約1600万年前の高見地域は浅い海だったとみられ、貝類や甲殻類など海の生物の化石が多数見つかる。今回の化石も、住民有志でつくる高海自治会化石研究会の井口聡会長が2010年に発見し、自治会館で展示、保管していた。

 化石研究会の井上正幸事務局長(62)は「驚きとうれしさでいっぱい。太古のロマンを感じてほしい」と話した。町は今春、町内での公開を検討している。

 研究チームは19年から調査し、研究論文が同日、英学術雑誌「ヒストリカル・バイオロジー」(電子版)に掲載された。