松江市袖師町の島根県立美術館が25日から約1年間、休館する。天井の耐震改修工事のため。1カ月を超える長期休館は初めてで、休館中も約3千点の浮世絵コレクションなど豊富な所蔵品を生かしたワークショップを館外で開き、美術の魅力を伝える。 (佐貫公哉)
宍道湖畔に1999年に開館した県立美術館は鉄骨鉄筋コンクリート造り一部鉄骨造りの2階建て。これまでに603万人が訪れた。ロビーはさざ波をイメージした波形のつり天井になっている。
工事は体育館や大規模ホールの天井が落下した2011年の東日本大震災を受けて14年に施行された改正建築基準法の基準を満たすために実施する。アルミ製のつり天井を軽い布状の素材に変える。空調や照明も新調する。
24日が会期末の企画展「生誕100年 回顧展 石本正」の閉幕後、全館を閉鎖し、ギャラリーも使えなくなる。館内のレストランは同日限りで閉店する。
県立美術館は休館中も美術に親しんでもらうため、所蔵する浮世絵を紹介する特設サイトを4月に開設。葛飾北斎の代表作「冨嶽(ふがく)三十六(さんじゅうろっ)景(けい) 凱風(がいふう)快晴(かいせい)」などえりすぐりの100点を公開し、今後も掲載作品を増やす。
館外での活動にも力を入れ、北斎の絵柄を使ってマグネットや紙袋といった作品を作るワークショップを今月末から市内の商業施設などで開くほか、パネル展示や所蔵品解説の講演会を予定する。
椋木賢治学芸課長は「子どもたちや美術にあまり興味がない人にもPRし、所蔵品の魅力を広く伝えたい」としている。