優勝したWBCや子どもへの指導法の質問に答える清水雅治さん=浜田市野原町、島根県立大浜田キャンパス
優勝したWBCや子どもへの指導法の質問に答える清水雅治さん=浜田市野原町、島根県立大浜田キャンパス

 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝し、日本代表の外野守備・走塁コーチを務めた浜田市出身の清水雅治さん(58)が13日、市内で講演した。WBCを含めコーチ人生を振り返って、子どもたちの指導への思いを話した。

 講演では、WBC準々決勝のイタリア戦で岡本和真選手にサインを誤って伝え盗塁アウトになったことに触れ「大うそを言った私の話を聞いて大丈夫ですか?」とユーモラスなあいさつで幕開け。2017年から日本代表コーチを続ける原点には「話を受けた時は悪い結果を想像し、断ろうと思った。でも世界一になった場にいなかったら後悔する」との思いがあったと明かした。

 WBC日本チームの栗山英樹監督は「ありがとうが口癖でとにかく気遣いができる人」とし、栗山監督が選手とコミュニケーションを図る上で、WBCの選手全員に直筆の手紙を送った逸話を紹介。「どういう言葉を使えば選手に響くのか常に考えていた。監督の思いが選手全員に広がり、世界一になれたと思う。まさに理想の指揮官だった」と振り返った。

 日頃の練習に選手が飽きないよう競争を取り入れる有効性や、子どもが耳を傾けてくれるよう指導者自身が勉強する必要性も指摘。プロ野球で再びコーチを続けたいかとの質問には「昨年から指導する母校の浜田高校野球部の生徒が目をきらきらさせて話を聞いてくれる。それだけで価値がある。今はないかな」と笑みを浮かべた。

 浜田市野球連盟の理事を務める道下文男さん(71)=浜田市日脚町=は「チームを思いやる栗山監督や清水コーチの人間力に感動した」と話した。

 講演は市体育協会や市野球連盟が主催しスポーツ関係者ら135人が聴いた。(宮廻裕樹)