新型コロナウイルスが「5類」に移行して1カ月が経過する中、医療機関や高齢者福祉施設ではマスク着用や面会時の人数制限を徹底するなど、警戒態勢を維持している。面会についてはより緩和を求める要望が多く、感染リスクを見極めながら、難しい判断を迫られている。
松江赤十字病院(松江市母衣町)では5類移行後の5月中旬、コロナ禍では原則禁止していた患者への面会を緩和し、1回当たり2人まで、15分以内に改めた。患者と家族の双方から強い要望があったという。森脇光成事務部長は「9波の到来も懸念される中で『ここまでなら』という悩ましい判断になった」と振り返る。
県内の他病院も、時間や人数の制限を残したままの面会緩和が大半。隠岐病院(隠岐の島町城北町)のように、離島で医療資源に乏しいことなどを考慮して、原則禁止を継続する病院もある。
タブレットを介したオンラインや窓越しでの面会が続いていた高齢者福祉施設でも、対面での面会を解禁する動きが出てきた。
50人が入所する特別養護老人ホームうぐいす苑(松江市西法吉町)は、15~30分間を目安にロビーで実施。市内の感染状況が比較的落ち着いているとの判断で、今後も様子を見ながら制限緩和を検討する。
角田美智子施設長は「社会福祉施設でのクラスター(感染者集団)も報告されており、5類移行後もまだまだコロナの脅威は続いている」と気を引き締めた。 (中島諒)