先日、オンライン越しではあるが、アートディレクターとして知られる北川フラムさんとお話しする機会があった。「大地の芸術祭」として知られる越後妻有アートトリエンナーレや、瀬戸内国際芸術祭など、地域の暮らしに根差した芸術活動の第一人者である。筆者にとっては「伝説の人」であったが、話し方はエネルギーにあふれ、ユーモアに満ちていた。同時に、日本の地域の現状に対する強い問題意識と批判精神が印象的であった。
何年か前になるが、越後妻有を訪問したことがある。日本有数の豪雪地帯を舞台に、世界のアーティストたちが、思い思いの作品をそれぞれの集落で展開していた。
芸術作品といっても、特別に構えるようなものではない。棚田や古民家など、地域のさりげない風景を生かしながら、そこに芸術家ならではのオブジェクトを加えることで、...