島根県津和野町から吉賀町、広島県廿日市市を結ぶ古道「津和野街道」でつながる縁を生かし、3市町が11日、県境を越えて地域活性化を図る協定を結んだ。3市町の歴史や観光資源を再考・発掘しながら、ともに発展を目指す。
津和野街道は津和野町と廿日市市を結ぶ約77キロの古道で、江戸時代には津和野藩の参勤交代路や物資輸送路として利用された。2019年に3市町と民間団体で「津和野街道交流協議会」を発足。当初、廿日市に津和野藩の中継居留地・御船屋敷が設けられて400年の節目となる20年に調印式を予定したが、新型コロナ禍の影響で延期していた。
廿日市市役所であった調印式では、津和野町の下森博之町長が「街道を観光や教育に役立てたい」とあいさつ。吉賀町の岩本一巳町長は「連携を深め、活性化へ向けて取り組む」と力を込め、廿日市市の松本太郎市長は「観光を主要産業とする3市町同士を結ぶ街道だ。新たな観光資源として生かしていきたい」と応じた。
式典後、世界遺産・厳島神社の高舞台で、弥栄(やさか)神社の鷺舞(さぎまい)保存会が鷺舞を奉納。太鼓やかね、笛などによる演奏の中、雌雄一対の鷺役2人が羽を打ち鳴らして扇のように大きく広げると、参拝客が一斉にスマートフォンを向けた。
保存会の栗栖志匡(ゆきまさ)会長(67)は「協定をきっかけに経済はもちろん文化などさまざまな面での交流が進んでほしい」と願った。
このほか、宮島に向かうフェリー乗り場前で3市町の特産品販売のマルシェもあった。
(新藤正春)