トロッコ列車「奥出雲おろち号」
トロッコ列車「奥出雲おろち号」

 JR木次線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」が2023年の運行を最後に終了するJR西日本の方針を受け、島根県の丸山達也知事が27日、トロッコ列車を「観光振興の重要な柱」と位置付け、沿線自治体と連携して運行継続を同社に要望する考えを明らかにした。同社は近日中に運行終了方針を正式発表する。 

 丸山知事は会見を開き、同社米子支社の牧原弘支社長が20年11月に22年度以降の運行について検討中と述べたことに触れ「もともと継続が約束されていたわけではない」と受け止めた。その上でトロッコ列車が沿線の観光振興に欠かせないとの認識を示し、できるだけ早く運行継続を働き掛けると表明した。

 奥出雲おろち号は定員64人で4月から11月まで年間約150日走り、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年は約1万4千人が利用。同支社は木次線全体の年間利用者数を明らかにしていないが、関係者は運行終了による影響の大きさを懸念する。

 雲南市の石飛厚志市長は「トロッコは走りません、では了承できない」と話し、後継車両を準備できないか同社と議論する必要性を強調。奥出雲町の勝田康則町長は「トロッコがなくなれば、木次線の存続に影響を与える」と表情を曇らせた。

 奥出雲おろち号の運行区間は木次駅(雲南市木次町里方)|備後落合駅(広島県庄原市)の60・8キロ。一部は出雲市駅(出雲市駅北町)からも運行する。斐伊川・神戸川流域の出雲、雲南両市と、奥出雲、飯南両町で構成する「出雲の國・斐伊川サミット」は、1998年の運行開始当初から運行経費を負担しており、ここ10年は年間約1300万円を拠出するなど利活用に関わっている。     (取材班)