古事記で描かれる「あの世」(黄泉(よみ)の国)と「この世」の境とされる松江市東出雲町揖屋の黄泉比良坂(よもつひらさか)で18日、「天国への手紙」をたき上げる催しが開かれた。「夢で会いたい」など故人への思いがつづられた約1700通を参加者50人が送り主に代わって火にくべ、天に届くよう祈った。
黄泉の国への入り口をふさいだ「千引の岩」とのいわれがある巨石の前に設けられた祭壇で、4通の手紙が代読された。母親に宛てた女性の手紙は「笑っていられるように頑張る」としながらも「いつでもいいから夢で会いたい。そこで私に何か言ってくれたらうれしい」と切ない胸の内を明かした。
参加者と手紙を直接持ち込んだ来訪者は炎に向かって手紙を一通ずつ投げ入れ、思いが炎や煙に姿を変えて天に昇る様子を、手を合わせて見守った。
今春亡くなった母親への感謝をしたためた松江市東出雲町揖屋の伊藤晴美さん(70)は「気持ちの整理として手紙を出した。亡くなった後でも親孝行ができた」と話した。
黄泉比良坂はイザナギと亡くなった妻のイザナミが永遠に別れた場所とされる。たき上げは東出雲ライオンズクラブ(岸本透会長)が2017年に始めた。手紙は一年中募集しており、同クラブへの郵送のほか、比良坂神蹟(しんせき)保存会(門脇治男会長)が現地に設置した手製ポストに投函(とうかん)できる。(高見維吹)












