第一章 目利き(十九)

 母が大切に面倒をみていた佳品優品は箱を一瞥するだけで見分けがつく。何度もこの手で触れ、鬱(う)金(こん)の布で包み直し、箱にかける紐(ひも)の結び方、風呂敷...