江戸時代、松江藩の鉄師を務めた田部家によるたたら製鉄の操業が29日、雲南市吉田町吉田の和鋼生産研究開発施設で始まった。30日に砂鉄が溶けてできた塊を取り出す「〓(金ヘンに母)(けら)出し」に取り組む。
操業は、第25代当主田部長右衛門氏(41)が社長を務める住宅・食品関連の田部(雲南市吉田町吉田)が2018年、約100年ぶりに復活させ、5度目となる。
安全操業を願う神事を終え、田部氏は「ノウハウがなかった中、手探りの中で続けてきた。将来を担う子どもたちに見てほしい」とあいさつした。
縦1.6メートル、横1.5メートル、高さ1.2メートルの製鉄炉に火入れした後、社員約30人が炉に木炭を入れると、勢いよく炎が上がった。木炭1トン、砂鉄500キロを準備しており、交互に入れて製錬する。
同社では、「たたらの里づくりプロジェクト」を立ち上げ、たたら製鉄を軸に地域活性化を推進。できあがった鉄は、刃物やゴルフ用パターに加工して販売する。
(狩野樹理)