紙芝居の上演に先立ち、あいさつする発起人の湯浅宗生さん(右)=鳥取県八頭町船岡殿、済美地区公民館
紙芝居の上演に先立ち、あいさつする発起人の湯浅宗生さん(右)=鳥取県八頭町船岡殿、済美地区公民館

 【八頭】明治時代、民家火災で大やけどを負いながら人命救助にあたった島根県邑南町日貫の山本シゲさんを紹介する紙芝居の上演がこのほど、鳥取県八頭町船岡殿の済美地区公民館であった。住民約40人が山本シゲさんの功績に思いをはせるとともに、人を思いやる人権の大切さを学んだ。

 発起人は鳥取人権擁護委員協議会八頭町部会員の湯浅宗生(そうせい)さん。日貫地区に住む山田明子さん(84)が、山本シゲさんを紹介する冊子を制作したという本紙記事を読んだのがきっかけという。山田さんに電話したところ、過去に作った紙芝居(25枚)が届いた。

 紙芝居を活用しようと3地区(船岡、郡家、八東)で上演することにした。

 紙芝居には山本シゲさんのほか、夫や住民も登場する。部会員6人で配役を決め、せりふを読み上げることにし、事前練習もした。

 水を頭からかぶり、火事が起きた家に飛び込むシゲさんの勇敢なストーリーに参加者は引きつけられ、情感のこもったせりふに聞き入った。

 上演を見た八頭町船岡殿、主婦大谷美加恵さん(69)は「いい話で涙ぐみながら聞いていた」と感動した様子。紙芝居を送った山田さんは「日貫に立派な人がいたことを、多くの人に知ってもらいありがたい」と話し、県境を越えた上演を喜んでいた。(福間崇広)