リングマスターの衣装を準備するデニサさん
赤い衣装を身にまとった謎の女性。ポスターにも登場し、サーカスの案内人として、公演を盛り上げるリングマスターの正体は、スロバキア出身のデニサさん（４０）だ。さっそうと登壇し、凜（りん）としてステージに立つ姿がまぶしい。
ポップサーカスと出会ったのは１０年前。団員で姉のパトリシアさん（４５）を訪ねていくうち、興味がわき、サーカスの売店で働いていた。転機は姉の妊娠。代役が必要になり、急きょ舞台デビューすることになった。「最初はミスもたくさんして大変だった」と振り返る。
毎日のように練習を重ね、今では多くの演目をこなす一流パフォーマーに。パトリシアさんと一緒にこなす早着替えは息ぴったりで、会場が何度も沸く人気演目だ。
公演が始まると、開始からフィナーレまで常に動き回り、忙しい役回りだが「バタバタ働く方が性に合っている」と笑う。明るさも持ち味だ。
一番のやりがいは、観客の反応。思わず息をのむようなイリュージョンで、成功した瞬間にわっと歓声が上がるのが「たまらない」と言う。その瞬間を求め、今日もリングマスターはステージに上がる。（堀尾珠里花） ＝おわり＝
