建て替え整備を進めることが決まった浜田郷土資料館=浜田市黒川町
建て替え整備を進めることが決まった浜田郷土資料館=浜田市黒川町

 浜田市教育委員会は2日、2年前に計画を凍結した浜田郷土資料館(浜田市黒川町)の建て替え整備を改めて進める考えを明らかにした。凍結の背景に、市世界こども美術館(同市野原町)近くに移転し美術館と併設する当初案が批判された経緯があるが、今の資料館の老朽化も著しく、市民アンケートで8割が整備が必要と回答したため。今後は併設案の復活も含め、整備手法を再検討する。(中村成美)

 市教委が2日の総務文教委員会で説明した。市は計画が凍結中の昨年7月から今年7月まで、資料館の見学会と建て替えの是非を問うアンケートを実施。回答者198人のうち、81%に当たる161人が「整備が必要」と回答した。

 市がもともと計画した、こども美術館との併設案は、総事業費7億5千万円を要し厳しい財政事情と相まって市民の賛否が分かれた。2021年秋の市長選の争点となり、久保田章市市長は計画に反対する対立候補と大接戦の末、辛勝したが、市長選後に市民の理解が得られていないとして計画の凍結を表明した。

 市教委は今後、併設案やアンケートの指摘を踏まえ、建て替えの手法や場所など、具体的な検討に着手すると説明。検討開始時期や進め方、整備完了の見通しは現時点では未定とした。久保田市長は取材に対し「整備が必要とした結果はしっかりと受け止め検討する」と述べた。

 市によると、今の資料館は築60年以上が経過し、天井の雨漏りや壁のひび割れが激しく小規模修繕を繰り返しているのに加え、展示室が手狭になっているという。