訪日中国人の地方観光~島根のインバウンド対策~
戦略的にSNS活用を
山陰中央新報社の石西政経懇話会、石見政経懇話会の定例会が9、10日、益田、浜田両市であり、「中国若者富裕層ビジネスコンサルティング」代表の劉瀟瀟(リュウ・シャオシャオ)氏が「訪日中国人の地方観光~島根のインバウンド対策~」と題して講演した。訪日中国人への有効なアプローチ方法や受け入れる側の心構えを説いた。要旨は以下の通り。
訪日中国人の数は着実に回復している。訪日外国人のうち中国は8%にとどまる一方、消費総額は13%を占め1人当たりの単価が高い。消費パターンは多様化し、買い物だけでなく体験サービスを楽しむ「コト消費」への関心も高い。
日本にとって脅威となりうるのが、コロナ禍の3年間で中国国内の観光に目が向いたこと。宿泊施設やツアーの質が上がり、富裕層が従来日本の魅力だと感じていた部分が国内で楽しめるようになった。
中国はスマホ社会だ。旅行もスマホで情報収集しており、交流サイト(SNS)での情報発信が効果的だ。各SNSの特徴・役割に合わせて戦略的に発信する必要がある。このほか、聖地巡礼を意味する「ダーカー」、いかに写真や動画に映えるかを表す「イエンジー」、文芸青年の略称でシンプルで個性的なファッションを好む「ブンチン」などのトレンドがある。
石見の魅力は自然景観、文化・歴史だ。例えば石見神楽の鍾馗(しょうき)や画聖・雪舟、日本遺産・中世益田などは、ストーリー性を含ませて中国との関係を持たせられる。
最後に、何よりも受け入れ側の本気度が最も重要だ。「中国人はマナーが悪い」と言われるが、文化・マナーの違いは当たり前で、いかに相互理解していくかがインバウンド事業の第一歩だろう。積極的にこちらのルールを伝えたい。
(藤本ちあき)