商業が盛んだった島根県隠岐の島町西郷地区を物語る、レトロなうちわの展示が12日、同町西町の町図書館で始まる。冷房設備のない時代に重宝されたうちわは、個人商店の広告としてだけでなく、個性的で美しい細工が見て取れる。
展示されるうちわは主に西郷地区の個人商店や薬局が配布した約30点。柄が竹でできたハンドメードのものは表記の電話番号が3桁しかない。電話交換手がいた時代のものとみられるという。昭和後期の俳優や野球選手が印刷されたプラスチック製のうちわもある。
古くなるほど絵付けや紙の細工が丁寧に施されていて、すでに廃業した店舗や業態が変わった店舗のものもある。
出雲大社西郷分院の吉田均分院長(61)が以前、古い新聞のチラシを展示したのをきっかけに、近所の人から寄せられたもので、吉田さんは「盆暮れ勘定で中元や歳暮代わりにうちわを渡していた時代を物語る」と話している。展示は8月末まで。20日と毎週月曜は休館。 (鎌田剛)