▽短歌 寺井淳選

帰省の子は鍬を持ちて畠を打つ雑踏の澱(おり)汗に流して        大 田 坂本 恵子

  【評】汗を流して畑を打つ作業は無心になれる時間なのだろう。「タイパ」とか「コスパ」とかに縛られる都会生活の心の澱を洗い流すように。

よく見ればエリザベス2の肖像が日本円では4円だといふ     浜 田 宇津美枝子

  【評】いつの間にか財布の中に紛れ込んでいた、外国のコインの歌。エリザベス二世 という名前や、4円というその価値が歌の手触りになっている。

天にとどく...