出雲市内のスーパー勤務の男性が自ら命を絶ったのは過重労働が原因だとして国に遺族補償不支給決定処分の取り消しを命じた松江地裁判決を受け、両親が4日、島根労働局を訪れ、控訴しないよう申し入れた。

 男性は2009年にうつ病を発症し命を絶った高木教生さん=当時(36)。両親が遺族補償不支給決定の取り消しを求め提訴。5月31日の松江地裁判決は訴えを大筋で認め、処分取り消しを命じた。

 両親は支援団体「山陰過労死等を考える家族の会」の三浦一雄事務局長と一緒に労働局を訪れ「これ以上、遺族を苦しめず判決を真摯(しんし)に受け止めて」などと書いた要請書を渡した。

 家族の会の代表を務める母・栄子さん(74)は取材に対し「判決をいただいた時はうれしかったが、今度は違う不安がある。控訴しないでほしいという思いでいっぱい」と訴えた。

 島根労働局の金坂正也労災補償課長は「本省の結果に従わざるをえない。要請を受けたことは本省に届ける」と話した。

 両親は松江地方法務局にも同様な申し入れを行った。同法務局にはこの日までに「控訴しないように」との要請書が約50通届いているという。

      (片山皓平)