益田市ゆかりの万葉歌人・柿本人麻呂(人麿)の没後1300年記念イベントが26日から2日間の日程で島根県芸術文化センター・グラントワ(益田市有明町)で開幕した。初日は人麻呂が妻との別れを惜しんで詠んだ「石見相聞歌」の演奏・合唱があり、来場者約200人が益田の宝である「ひとまろさん」に思いをはせた。
万葉集に収められた石見相聞歌に作曲家の高橋久美子さん(東京都在住)が曲を付け、グラントワ弦楽合奏団、島根邦楽集団、グラントワ合唱団の3団体約90人が出演した。
ステージは男女の情愛を表現した長歌を軸に構成。弦楽器や琴、三味線、尺八の音色が「妹(いも)が門(かど)見む なびけこの山」と歌い上げる重厚な合唱と相まって荘厳な雰囲気を醸し出し、来場者が盛んな拍手を送った。
益田市遠田町の会社員三宅亮さん(37)は「1300年の昔にタイムスリップしたようだった」と感想を話した。
「柿本人麿没後1300年祭」と題して地元有志でつくる同祭実行委員会と同祭推進委員会が主催。記念式典には丸山達也県知事も出席した。初日はこのほか和歌披講や万葉茶会、奈良女子大名誉教授の坂本信幸氏らによる記念講演会などもあった。
27日は午前10時半から創作朗読劇、創作神楽、全国万葉短歌大会が行われる。
(中山竜一)