2015年春、福島大4年だった高橋恵子(30)は、仙台市で開かれた国連防災世界会議に登壇した。11年3月11日の東京電力福島第1原発事故で故郷を追われた避難者として、経験や放射線教育の重要性を英語で訴えた。「今回の話が教訓となり、原発事故が二度と起きないことを願います」

 原発事故後に何度もこなしてきたスピーチは、その日も堂々としていた。「福島を背負っているような気持ち」だった。

 しかし、その頃から使命感と自分の本心がうまく調和していないように感じ始め...