ワクチン一般接種(64歳以下)開始時期の見通し
ワクチン一般接種(64歳以下)開始時期の見通し

 新型コロナウイルスワクチンを巡り、47都道府県庁所在地のある市区のうち、51%に当たる鳥取など24市は64歳以下の一般接種の開始時期が決まっていないことが5日、共同通信の調査で分かった。接種券を国の方針通り6月発送としたのは28%(13市区)にとどまり、自治体の多くで準備が追い付いていない実態が浮かんだ。

 松江は64歳以下の一般接種の開始時期を8月とし、接種券は7月に全員に一斉発送すると回答。鳥取は発送スケジュールや優先順位などを含めて「何も決まっていない」としている。

 政府は自治体に対し、高齢者接種に一定のめどが立てば、完了を待たずとも基礎疾患のある人を含めた64歳以下にも広げるよう要請した。しかし、自治体は高齢者接種の7月末完了に追われており、政府の思惑通りに事業が加速するかどうかは不透明だ。

 調査は5月31日~6月4日、47都道府県庁所在地の市区(東京は新宿)に実施した。

 一般接種の開始時期の見通しを「検討中・未定」と回答した24市は鳥取、札幌、長野、鹿児島など。これに対し、水戸、神戸、和歌山、新宿の4市区は6月に始めると答えた。佐賀市は「早ければ6月末」。山形、名古屋、京都など11市は7月、松江、秋田、那覇など7市は8月とした。

 政府は64歳以下の接種券を、6月中旬に送付できるよう自治体に準備を求めている。しかし鳥取、仙台、前橋、津など21市は発送時期を未定や検討中と回答。鳥取市は「発送スケジュール、基礎疾患の方の先行予約をするかどうかを含めて、検討段階」とした。

 一方で青森、福井、岡山など13市区は6月、松江、新潟、広島、大分など11市は7月にそれぞれ発送予定と答えた。福岡市は「早ければ6月。間に合わなければ7月」とし、甲府市は8月を挙げた。

 64歳以下の接種対象者の人口は7千万人以上になる。どうやって接種券を送るか複数回答可で尋ねると、「方法を検討中・未定」が最も多く30市区。「年齢の高い人から」が10市、「全員一斉」が松江など3市だった。松江市は「基礎疾患のある人を特定できないため一斉発送する予定」と回答した。岐阜市や和歌山市などはまず基礎疾患のある人に事前申請してもらい発送する方針。

 政府は打ち手確保策として救急救命士や臨床検査技師による接種を特例で容認。この2職種について、4市が「活用する」、鳥取、松江など13市が「しない」、30市区が「検討中・未定」とした。