学科新設を巡り教員と学校との対立が明らかになった学校法人永島学園松江西高校=松江市上乃木3丁目(画像の一部を加工しています)
学科新設を巡り教員と学校との対立が明らかになった学校法人永島学園松江西高校=松江市上乃木3丁目(画像の一部を加工しています)

 学科新設を巡り保護者、生徒を混乱させたという理由で停職を含む不当な懲戒処分を受けたとして、学校法人永島学園松江西高校(松江市上乃木3丁目)の教員13人が、法人に対し処分の無効確認や計1540万円の慰謝料を求める訴訟を松江地裁に起こすことが3日、関係者への取材で分かった。4日に提訴する。

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 松江西高校は現在、進学を目指す生徒が在籍する普通科を含め2学科があるが、法人などによると、有償のインターンシップ(就業体験)で単位認定する、新設の「総合学科」に一本化し、就職を目指す生徒向けに特化する方針。2024年度の新入生受け入れを目指し県に設置認可を申請し、諮問を受けた私立学校審議会で審議されている。

 教員側は、進学をなくす経営方針への反対や、根拠が示されないままトップダウンで進める姿勢、保護者らの理解が得られていない状況を踏まえ、当初から見直しを求めてきた。

 その上で、法人側が年度末の3月中旬になって計画した保護者説明会を前に、「教職員一同」を差出人とする文書で保護者にカリキュラムが変更される可能性があることなどを伝え、説明会への出席を求めた。

 法人側は、この文書を問題視。許可していない文書を出して生徒、保護者を混乱に陥れたとして、7月11日付で、3人を1週間または2週間の停職、別の3人を減給、7人を戒告の懲戒処分とした。教員側は、説明が尽くされておらず「学科新設が進むことによる混乱の方が大きい」と指摘。文書配布は「正当な権利だった」とし、不当な処分により精神的な苦痛を受けた主張している。

 永島学園の永島一雄理事長は、山陰中央新報社の取材に対し、「内容にかかわらず公文書を許可なく出したことによる就業規則違反の懲戒処分で、正当な処分だ」と話している。
(古瀬弘治、原暁)