浜田市三隅町井野地区で買い物に困っている高齢者向けに生鮮食品などを販売する「いのまるマーケット」が始まった。町内の訪問販売業者が店を閉めたことを受け、地区住民が企画。月1回の開設日は食品販売とともに、健康チェックや運動ゲームも楽しめるようにし、高齢者の憩いの場として運営する。 (陶山貴史)
同地区は人口635人で、高齢化率が59・69%。スーパーマーケットや病院などがある町中心部まで6キロ以上あり、市生活路線バスの便数も限られるため、自家用車を持たない高齢者は買い物が不便な状況にあった。
さらに移動販売を手掛けていた町内の個人商店が昨年末に閉店。日常の買い物が困難となったことから、住民でつくる「まちづくり推進委員会INO(いの)」が開店準備を進めてきた。
いのまるマーケットは井野まちづくりセンターを会場に、江津市の移動販売業者が野菜や魚、肉、すしやあえ物といった総菜を持ち込んで販売する。
初回となった先月25日は高齢の地元住民が来店し、販売業者と会話しながら、買い物かごに商品を次々と入れていった。バス停まで2キロあり、不便さを感じていたという大森敦子さん(88)は「近くで買い物できるのはありがたい」と笑顔を見せた。
浜田市、市社会福祉協議会とも連携し、会場では来店客の血圧を測定したほか、スティックでボールを打つ高齢者向けのゲームも用意した。
マーケットは月1回のペースで健康相談や体操なども開催する計画。まちづくり推進委員会INOの若菜洋子事務局長(66)は「利用者に喜んでもらえたようで良かった。今後も住民の要望を聞きながら、住民同士の交流の場になればうれしい」と話した。