日本記録を樹立した山県は笑顔で振り返った。

 ―記録達成に。

 「すごくうれしいし、ほっとしている。多田選手がすごく近かったのでタイムは気にしていなかったが、いい記録が出るだろうなと思っていた」

 ―レース内容は。

 「多田選手が先行して途中まで前に見えていたが、しっかり集中力を切らさず、自分のペースを崩さずにという意識をしていたのがラストでかわせた要因だと思う」

 ―9秒97から、正式タイムで9秒95になった。

 「97でもうれしかったけど、まさか日本記録。95が公認で出るとは思わなかった。2倍うれしかった」

 ―けがに悩まされた。

 「ここ2年は思うようにいかない日々が続いた。けがはある種、課題を突きつけているものだと思っていた。けがを克服できればもっといい走りができると信じてトレーニングしてきた。実を結んで本当に良かった」

 ―日本選手権へ。

 「簡単なレースにならないと思う。しっかり気を引き締めて、絶対代表権を取るぞという強い気持ちを持って臨みたい」